学校に着き昇降口に向かっていると…。

〈あの!〉

突然話しかけてきたのは小柄で女子力が高そうな子。

〈わ、私、高等部2年の笹野と言います!
私、く、黒鉄君の事が好きです!〉

私はちょっと複雑な気持ちになった。
でも、気のせいだった。

【ありがとう。でも、ごめんなさい。
俺、彼女いるんで。】

リッくんはそういうと私を抱き寄せた。

笹野先輩は涙目で、私を見た。

〈お時間くださりありがとうございます。〉

そう言うと走って行った。

【大丈夫か?】

リッくんは私の頭に手を乗せながら言った。

『大丈夫。リッくんは私の彼氏だもんね。』

【改めて言われると対応に困る。】

リッくんは顔を手で隠しながら言った。

なんとなく可愛いと思ってしまった。


奇跡的に私とリッくんは同じクラスになった。席も近かった。

教室に入るなり女子がリッくんを囲む。

ワイワイ楽しそうに。リッくんは私を気にしてるみたいでチラチラとこっちを見てくる。

私は大丈夫。と、ジェスチャーをした。

始業式も終わりリッくんと帰ったけど、うまく話せなかった。

リッくんは何も言わなかった。私の気持ちをわかってるからだろう。

私はさりげなくリッくんの手を握った。

リッくんは力強く握り返してくれた。