それから2日後。
龍が家にやって来た。

{資料持って来ました。}

私達はこの前のカフェで資料の読み合わせをする事にした。

カフェに向かう道中龍は言った。

{弥生さんはどこから資料、もらったんですか?}

『知り合いから。』

言える訳が無い。恥ずかしすぎる。

『あなたは?どこで手に入れたの?』

{僕はネットと新聞、あとは祖父に聞きました。}

最初の2つは納得した、祖父に聞きました
って何?

そんな私の疑問を龍はすぐに解消してくれた。

{僕の祖父は警察署の署長なんですよ。}

ピタッと、自然に足が止まった。

{先輩、もしかして何かやらかしたんですか?}

勘違いされてしまったかもしれないが今は
それどころでは無い。

『署長さん?嘘だよね?』

私は龍の顔を見ながら言う。

{こんな嘘ついて誰にメリットあるんですか?弥生さんって面白いんですね。}

それもそうだ。

『さっき知り合いから資料をもらったって言ったでしょ?その知り合いっていうのが署長さんなんだよね。』

{どこで知り合ったんですか?}

『……りっくんの事故の時にお世話になって…それでかな…。』

{そうなんですか…。}

その後沈黙が続き重い空気のままカフェについた。

『龍は誰だと思う?』

コーヒーを1口飲み私は聞いた。

{資料を見る限りこの人なんですよね。}

龍は資料を指さしながら言う。

名前:久保幸太

年齢:28歳

職業:フリーター

前科:無し

と書かれた人だ。

『そうだね。てか、この人しか候補にいないじゃん。』

{会いに行きますか?}

私は考えた。今、会いに行って何を言う?

直球に聞いて怒らせたら何するかわかんない奴かも?

そもそも関係ない人だったら?

『証拠がない。この資料だけじゃ…。』

{そうですよね。}

沈黙が流れる。

ふと、龍が

{あっ}

と、声を上げた。

『何かあった?』

話すか迷う素振りを見せる。

{もしかしたら…。カメラに…。}

『カメラ?』

{あの時写真を取って遊んでたんです。}

『えっ…?写真…?』

{家に帰って取って来ますね。}

龍は急いでカフェを出た。

15分位で龍は戻って来た。

{ありましたよ。でも、イマイチですね。}

写真を見せてくれる龍。

確かに少しわかりにくい。

そんな所に声がかけられた。

〔あの、弥生さんですか?〕

そこには1人の男性が立っていた。

『そうですが。どちら様ですか。』

男性は名刺を私に差し出した。

〔久保幸太と申します。初めまして。〕

龍が反応する。私は龍を睨み黙らせる。

『初めまして。私に何か用ですか。』