{近くのカフェに行きませんか?}
突然家にやって来た青年…龍。
私は頷いた。
{急にお邪魔してすみませんでした。}
カフェに着きしばらく重い沈黙が流れていた。それを破ったのは龍。
『いえ。大丈夫です。あの、今日は何の用でしょうか?』
私は頼んだコーヒーをかき混ぜながら訪ねた。
{10年前の事故についてお聞きしたい事がありまして。僕を助けてくれた男の人はどうなったんですか?}
ガチャン
スプーンが手から離れた。
私達、2人しかいない店内に響いた。
『リッくんは…。あなたを助けた黒鉄陸は
死にました…。』
少し間を置き私は言った。
{すみませんでした。}
龍が土下座してきた。
『え…?なんであなたが謝るの?』
私は驚いた。そうですかとか沈黙が流れるかと思ったら全然違かった。
{だって、僕を助けたせいですよね?だったら謝らないといけません。…それに母は僕を抱いて逃げました。無責任な行動をしました。だから、それも含めてごめんなさい。}
『リッくんならきっと許します。優しいから。だから私も許します。』
笑えなかった。無表情だったと思う。
リッくんがいなくなって笑えなくなった。
リッくんは私の笑顔が好きって言ってくれたけど。何度も練習したけどダメだった。
{そうですか…。}
龍は席に座りなおした。
『それだけですか?』
私はコーヒーを一口飲んでから問うた。
{いえ。実は犯人らしき人物が浮上しまして。あ、僕学園で探偵部に所属しています。}
『学園って牧野大学付属牧野学園?』
{はい。もしかして黒川さんも?}
『うん。そうよ。ごめんね、話がそれたね。
探偵部って確か実際にあった事件を解決するのよね。よくニュースで特集組まれてるし。凄いよね。』
私が卒業してから出来た部活だ。
{はい。そこで僕は10年前の事故について調べていたんですが似たような事故が多数起きていまして。それでさらに調べたら犯人らしき人を見つけました。}
私は信じていなかった。確かに成果を出しているのは知ってるし凄いなと素直に思う。
でも、この話は別だ。
『凄いのはわかるけどこの事故に関しては信じられない。』
{そうおっしゃると思い黒川さんの現在のお仕事を調べさせていただきました。}
さすがに聞き流せなかった。
『やめてよ。なんでそこまでするの?』
{あなたの今の仕事は}
『やめて!』{探偵ですよね?}
声が被った。
しばらく重い沈黙し流れた。
私のコーヒーが丁度なくなる頃。
龍が話し出した。
{すみません。でも、何としても犯人を捕まえたくて。}
『理由を聞かせてくれる?私はリッくんを殺した人を懲らしめる。絶対に。だから探偵になったの。』
{僕の母が死んだんです。事故の後走り去った事を後悔して自殺したんです。事故から3日後に。僕は施設で育ったんです。だから元凶であるトラックの運転手を捕まえたくて。}
龍は泣きそうな顔でそう言った。
私はある提案を思いついた。
『理由は私と似てる。わかったわ。あなたを私の助手にする。』
{え…?良いんですか…?}
{ただし、条件がある。犯人を見つけて追い詰めたとする、その時の対応を私に任せて欲しい。それと学園にある事故に関する資料も提供してもらう。以上2つの条件が守れるなら助手にする。}
龍は少しの間考えると言った。
{わかりました。その条件、受け入れます。
よろしくお願いします。黒川さん。}
龍はお辞儀をした。
『それと、私のことは弥生でいいから。
よろしくね龍。』
笑ったつもりだけど筋肉がひきつった。
{はい。わかりました。弥生さん。あの、ひどい事聞いてもいいですか?}
『笑えないの。リッくんが死んでから。
気にしないで。笑わないから。』
{あ、ごめんなさい。}
『大丈夫。それじゃまた。』
私はコーヒー代を払い、店を出た。
龍は私の姿が見えなくなるまでお辞儀を続けた。
突然家にやって来た青年…龍。
私は頷いた。
{急にお邪魔してすみませんでした。}
カフェに着きしばらく重い沈黙が流れていた。それを破ったのは龍。
『いえ。大丈夫です。あの、今日は何の用でしょうか?』
私は頼んだコーヒーをかき混ぜながら訪ねた。
{10年前の事故についてお聞きしたい事がありまして。僕を助けてくれた男の人はどうなったんですか?}
ガチャン
スプーンが手から離れた。
私達、2人しかいない店内に響いた。
『リッくんは…。あなたを助けた黒鉄陸は
死にました…。』
少し間を置き私は言った。
{すみませんでした。}
龍が土下座してきた。
『え…?なんであなたが謝るの?』
私は驚いた。そうですかとか沈黙が流れるかと思ったら全然違かった。
{だって、僕を助けたせいですよね?だったら謝らないといけません。…それに母は僕を抱いて逃げました。無責任な行動をしました。だから、それも含めてごめんなさい。}
『リッくんならきっと許します。優しいから。だから私も許します。』
笑えなかった。無表情だったと思う。
リッくんがいなくなって笑えなくなった。
リッくんは私の笑顔が好きって言ってくれたけど。何度も練習したけどダメだった。
{そうですか…。}
龍は席に座りなおした。
『それだけですか?』
私はコーヒーを一口飲んでから問うた。
{いえ。実は犯人らしき人物が浮上しまして。あ、僕学園で探偵部に所属しています。}
『学園って牧野大学付属牧野学園?』
{はい。もしかして黒川さんも?}
『うん。そうよ。ごめんね、話がそれたね。
探偵部って確か実際にあった事件を解決するのよね。よくニュースで特集組まれてるし。凄いよね。』
私が卒業してから出来た部活だ。
{はい。そこで僕は10年前の事故について調べていたんですが似たような事故が多数起きていまして。それでさらに調べたら犯人らしき人を見つけました。}
私は信じていなかった。確かに成果を出しているのは知ってるし凄いなと素直に思う。
でも、この話は別だ。
『凄いのはわかるけどこの事故に関しては信じられない。』
{そうおっしゃると思い黒川さんの現在のお仕事を調べさせていただきました。}
さすがに聞き流せなかった。
『やめてよ。なんでそこまでするの?』
{あなたの今の仕事は}
『やめて!』{探偵ですよね?}
声が被った。
しばらく重い沈黙し流れた。
私のコーヒーが丁度なくなる頃。
龍が話し出した。
{すみません。でも、何としても犯人を捕まえたくて。}
『理由を聞かせてくれる?私はリッくんを殺した人を懲らしめる。絶対に。だから探偵になったの。』
{僕の母が死んだんです。事故の後走り去った事を後悔して自殺したんです。事故から3日後に。僕は施設で育ったんです。だから元凶であるトラックの運転手を捕まえたくて。}
龍は泣きそうな顔でそう言った。
私はある提案を思いついた。
『理由は私と似てる。わかったわ。あなたを私の助手にする。』
{え…?良いんですか…?}
{ただし、条件がある。犯人を見つけて追い詰めたとする、その時の対応を私に任せて欲しい。それと学園にある事故に関する資料も提供してもらう。以上2つの条件が守れるなら助手にする。}
龍は少しの間考えると言った。
{わかりました。その条件、受け入れます。
よろしくお願いします。黒川さん。}
龍はお辞儀をした。
『それと、私のことは弥生でいいから。
よろしくね龍。』
笑ったつもりだけど筋肉がひきつった。
{はい。わかりました。弥生さん。あの、ひどい事聞いてもいいですか?}
『笑えないの。リッくんが死んでから。
気にしないで。笑わないから。』
{あ、ごめんなさい。}
『大丈夫。それじゃまた。』
私はコーヒー代を払い、店を出た。
龍は私の姿が見えなくなるまでお辞儀を続けた。