――ドサドサッ。
……教卓の上のテキストを床に落っことした。
それをみて驚いた千夏が「わっ、」と声をあげた。
「すみません、倉田さん……」
――ドサッ。
(……なにやってるんですか、)
先に落ちたテキストを拾おうとして、更に手帳まで落としてしまったらしい。
なんておっちょこちょいなの先生。
クスクスと、どこからともなく笑い声が聞こえてくる。
「ダッサ。寝ぼけてんじゃねーの」
「まぁいいじゃん。狼谷の授業はラクで」
……あーあ。
生徒たちから完全に舐められている。
それでも、困る様子も怒る様子もなく。
ただマイペースに授業を続けるのが狼谷先生だ。