とぼけてるようで、頭がきれて。


キケンなようで、どこか、幼い。


このひとは……。


わたしを、どうしたいんだろう。


「なんか、いーね。モトコ」

「?」

「うん。すごくいい」

「なにが、」

「逃がしてあげようか。モトコ」


――え……?


「ボクならこのままモトコを綺麗なまま解放してあげることができる」

「……ほんとに?」


こんな男のいう言葉を信じていいのかな。


だけど、他に希望なんてない。


「ひとつ、ヤクソクしてくれたらね」


――約束?


「なにを……約束すればいいの?」

「ボクのオモチャになって」

「……はい?」

「悪いハナシじゃないでしょ。それで今日のところは帰してあげる」


いやいやいや。


この取引、

ぜったい受けちゃダメなやつだ。


「もし……断ったら?」

「んー。そしたら、こうするしかないね」


――!!!


ポケットから取り出したのは、ナイフ。


「ちょっと乱れてもらうね。絵図的に」


(……絵図的に?)


「あー、じっとしてて」


ビリッ……


「なっ、」


制服を、破かれた。

サァっと血の気が引いていく。


「動かないで。動いたらモトコの身体に傷ができちゃうから――」

「ちょっ……! いくらすると思ってんの!?」