(……だから、なに?)


「なくなったところで死にはしないんだ」


――え?


「ドキドキしてきたなぁ」

「は……?」

「ボクが人生で一番痛い体験させてあげる」

「……なに、する気?」


そういえばコイツの仲間

ナイフ持ってたよね……?


さ、

刺されるの、わたし……?


切り落とされるとか?

ないよね?


「あー、でも」

「……?」

「モトコには痛いことより。大人の階段のぼらせてあげたいかも」

「は?」

「さっきの反応だと、きっと、なんにもしたことないんだよね?」


(なんの、話……?)


「どっちがいい?」


どっちって……


痛いのと、大人なのと?


「……どっちも、嫌」


帰りたい。ここから、出たい。


「じゃあ、ボクが決めてあげるね」

「いやっ……。近づくなヘンタイ……!!」


つい、思ったことがそのまま口から出た。


目を細めて見つめてくる。


もう、ダメかもしれない。


「もっかい」


(……へ?)


「今の台詞。もっかい言って」