なにも答えない銀髪。
やっぱり、あっさり名乗ってくれないか。
ってか……。
さっきから、
紐が食い込んで手首が痛くて仕方ない。
「もしかして、痛いの?」
「……!」
「調節してあげようか」
「っ、ほんと?」
緩めてくれるの?
案外怖いひとではないの……?
「もっと、キツく縛ってあげる」
(……は?)
なんでそんなこと言うの?
「いいね。そういう顔みてると、こっちがゾクゾクする。キロクしとかなくちゃ」
ビデオカメラのレンズをわたしに向けてくる。
……愛美たちと、似てる。
人をいたぶり喜ぶタイプ。
相手が嫌がれば嫌がるほど
きっと、このひとは調子に乗る。
いや、でもこの危うさは……
どちらかというともっとヤバめで。
ああ、そうか。
このひとはエリカに似てるんだ。
はやく逃げなきゃ本当にヤバイ……。
「……誰なの、あなた」
「そんなにボクに興味持ってくれたんだ?」
ちがう。
興味持ったとかそういう問題じゃなくてさ。
こんなところに連れてきて、縛って、笑って、ビデオカメラを向けてくるイカれたあんたは何者なのって聞きたいの。
「……うん」
「嬉しいな」