ほんとのことを言えば青山くんを驚かせてしまう。
「……別に。たいしたことは、」
「素子」
「っ、」
……言っていいのかな。
「話して」
そんなにまっすぐに見つめられると
その瞳から逃げられなくなる。
どうして、青山くんは
わたしと向き合ってくれるのだろう。
クラスメイトには誰一人として
わたしと好んで関わり合おうとする人間は、いないのに。
「……怪我ってなに?」
「え?」
「狼谷に聞いた。保健室に二人で向かった噂の出処は、素子が怪我したのを狼谷が手当てしたことなんだってな」
「……うん。そうだよ」
青山くんは、いつ、狼谷先生とそんな話をしたんだろう。
「どこ怪我したの」
「あ、足の裏」
「……え?」
「画鋲がね。上靴に入ってたの」
「ガキかよ。そんな低レベルな嫌がらせするとか」
「はは。ほんとにね。まんまとやられたよ」