家に帰ると、いつもより遅くなったのでおばあちゃんに少し心配されたが、補習があったとごまかした。


食事を終えたあと、湯船につかり『一体誰がわたしを助けてくれたんだ?』と考えてみた。


女の子ではないと思う。

いくらチビでも運ぶのが大変だろうから。


「まさか……」


頭によぎったのは、ひとりの男。


きっとほんとは迫力あるのにそれを隠して生きている、あの男。


ピンチになるとフラリと現れるアイツがまたわたしを助けてくれたのだろうか?


そんなことを考えたところで正解はわからない。

でも、そうだったら、ちょっと嬉しい。


……いや、でも、都合よく見つけたのがあの男だって可能性は低いだろうし。


「なに考えてんだか」


先生に期待してどうする。

先生は、わたしに、青山くんに守ってもらえと言ったのに。


「……変なの」


気づけばあの男を考えてしまっている。


だえどまあ、なにはともあれ

こうして家に帰ってこられて本当によかったと思う。