「……って、ヤバ!」


洗濯物、取り込まなきゃ。


こんなことがあっても家の用事を済まさなきゃとか。

特売セールもう間に合わないだろうな、とか。


そんなことを考えていられるあたり、わたしは神経が図太いのかもしれない。


「先生、ありがとうございました!」


慌て手保健室を出ようとすると、

「あ、木乃さん」

保健室の先生に呼び止められた。

30代半ばくらいの女の先生だ。


「なにか?」

「なんでも相談してね?」


真剣な顔してそう言われるも、なにを心配されているかわからない。


「……え、あ、はいっ」


すると、今度はニッコリ笑って

「ちょっと細すぎ。先生が木乃さんの頃は、もっとぷくっとしていたなぁ」なんていう。


ほんとに?

スレンダーな先生からは、想像ができない。


「ご飯食べてる?」

「食べて……ますよ?」


熟睡していたのを、貧血かなにかで倒れたと思われたのかな。


「だったらいいんだけど。いつでも頼ってね」

「ありがとうございます」


先生にお辞儀をして保健室を去った。