階段をのぼり、ひとけのない校舎にやってくると


「…………」


不自然に塞がれた扉の前に無言で立つ狼谷。


場所は、資料室。

その扉は外側からホウキを使って閉ざされている。


異様な光景だ。


「見つけた」


つっかえ棒になっていたホウキをはずし、ガラッと引き戸を開けるとそこにいたのは素子だった。


てっきり閉じ込められて泣いているとでも思ったが――。


「おいおい。この状況で眠るヤツがいるか」


スヤスヤと寝息をたてて、眠っている素子。

なにやら本を読みながら寝てしまったようで、彼女の傍らには開いたままの本が置いてあった。


「……勉強でもしてたのか? こんな非常事態に」


狼谷は子を彼女をそっと抱きかかえると、ある場所へと向かった。