受験前から『北高は荒れている』と噂には聞いていたが、ここまで酷いとは思わなかった。
いわゆるヤンキーって感じの不良がうじゃうじゃいて、校則なんてあってないようなもので。
校舎裏で煙草を吸っている先輩がいるとかいないとか……そんな話も聞く。
入学して2ヶ月ほど、ひっそりと高校生活を送ってきた。
『おさげ+眼鏡+スカート標準丈』
絵に描いたようなガリ勉少女
——それがわたし、木乃素子だ。
お洒落に関心がないわけじゃない。
わたしだってスカートを短くしてみたいし、ダサい指定のスクバなんてやめて指定外の鞄で自由に登校してみたい。
だけど、規則は規則。
『郷に入っては郷に従う』精神に基づき、北高の生徒なら北高の生徒として生きようと思う。
もし、下手にあか抜けでもしたら目をつけられかねない。
わざわざ目立つことはしないでおくのがこの不良校で穏やかに過ごすための得策である。
面倒そうな連中には関わらないのが一番。
わたしは、ここで
“3年間地味に過ごす”と決めた。