尚も、日向はぐっすり眠っている。


 眠っていることをいいことに、日向の整った寝顔をじーっと眺める。


 いつもは見上げている日向の顔が、今は、こんなにも近い。


 日向は、所謂"塩顔"といわれる顔立ちだと思われるが、ひょろいとか、頼りないみたいな感じは全然しなくて、すごくかっこいい。


 健康的な白さの肌に、薄い唇、長い睫毛に縁取られる奥二重の瞳は、じっと見つめられると、何もかも見透かされているような感覚になる。


 その甘いマスクが、笑ったり怒ったり、その度に、あたしは胸の奥がきゅんとするのを感じるのだ。


 日向、好きだよ……今はまだ、いえないけど。


 暫く見つめていると、日向が身じろぎした。


 驚いて肩がビクッとしたけど、気に留めていないようで、日向はゆっくりその双眸を開けた。


「ん……あかりちゃん、起きた?」


「あ、うん…」


 あたしの姿を確認すると、ホッとしたような顔をして、脇に置いてあった水の入ったペットボトルを差し出してきた。


「はい、これ」


「あ、ありがと」


 それを受け取って、口に含む。冷たい水が通る度に、喉が潤っていくのを感じた。