「夕焼け、綺麗ですね!」

「そうだな」

帰り道。
夕焼けの下、華恋と彗は並んで歩いた。

「先輩、相変わらずサッカー上手ですよね」

「そうか?」

「はい!」

「まだまだだよ」

そう言って彗は笑う。
不覚にもキュンとしてしまった。

(先輩は、ずるいです……)

いつもいつも、華恋だけがドキドキしている。

「練習のし過ぎとかで倒れないでくださいね!?」

「ははっ」

結構真剣に言ったのだが、笑われてしまった。

分かれ道に差し掛かる。

「じゃあ俺、こっちだから」

「はい、先輩、また明日」

そのまま、彗の背中が見えなくなるまで動けなかった。

(好きだ、なんて伝えたら、こうやって帰ろうと誘ってくれることも無くなるんだろうか……)

いつかは伝えたい想い。
けれどそばにいられなくなるのが、怖かった。

そんな華恋を笑うかのように、カラスが鳴いていた。