「あ、のさ……」
高校生になって1ヶ月と少し。
「そろそろ、別れよ…?」
3年と5ヶ月付き合ってた彼氏と別れた。
もう、とうに好きじゃなくなってた彼氏。
別れは私から切り出したし、覚悟も出来てたはずだけど。
3年間つづいた関係が終わるんだなって思ったら、少しだけ涙がでた。
「うん、じゃあそうしようか」
なんでもないことのようにそう言われたのを私は忘れることが出来ないだろう。
もともと彼は私のことなんて好きじゃなかったのかもしれない。
告白したのは私だし、デートに誘っていたのも私だった。
それが嫌で別れを切り出したんだし、嫌だと言われても困っただろうけど。
仮にも付き合っていたのに、相手にとってはただの友達感覚だったんだと思うとやっぱり少し悲しい。
「…いままでありがとね、楽しかった」
「うん」
「また遊びにいこーね」
「うん、行こう」
「…じゃあ、ね」
もとの関係に戻るだけ。
幼なじみに、戻るだけ。
いままでと一緒。
ばいばい、と手を振って、自分の家に入る。
ドアを閉めて、自分の部屋へ行って。
窓からのぞけば、彼も自分の家に入っていくのが見えた。
“ねぇ、別れたよ”
この春買ってもらったスマホを取りだして、昨日あったばかりの友達に連絡する。
相手にしてみれば興味なんてこれっぽっちもないだろうけど、誰かに聞いて欲しかった。
“おつかれ”
すぐに返事がきて、なぜかやっと、別れたという実感が少し湧いた。
“なにもなかった?”
“ないよ、だいじょうぶ”
ちょっと泣きそうだけど、と送れば、別れってそういうものだよ、と返信が来る。
“ねぇ、電話してもいい?”
“いいよ”
いつもはちっともしてくれないけど、今日はいいよ、って帰ってきて。
涙を拭って電話をかけた。