私は溢れ出てくる涙を拭きながら、その場から逃げるように走った。
バカだ私……。
真緒くんが悪いんじゃない。
私の勇気の足りなさが悪いんだ。
なのに、あんな言葉は悔しさで伝えてしまった。
あんな言葉伝えたかったんじゃないのに。
真緒くんを想う気持ちよりも、自分を思う気持ちの方が上だったってこと。
そんな状態じゃ真緒くんを想う気持ちが伝わるわけがない。
「ありがとう…」
「好き」と言えなくても、せめてそう言いたかった。
10年前に言えなかった言葉。
これだけはちゃんと声に出して伝えたかった。
でも、その言葉は出てこず…
代わりに一番言いたくもない言葉が出てきてしまった。
もう伝えるには遅すぎたんだ。