★☆雛乃side☆★


「雛乃」

「琉風さん、こんばんは」



相変わらず美しい所作でアタシに歩み寄って

声を掛けてくれた琉風さん


あれだね

立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花

って言葉を体現してるよ





「――――良かったわね」

「え?」

「声出るようになって」





琉風さんは目を細めて柔らかくこちらに笑いかけた

それを見て数秒固まってしまったけれど

自分の顔に笑みが浮かんでいることは自覚してる





「はい!」

「ふふ、あたしを含めてみんな心配してたのよ。

だからね、声が戻ったって聞いたときは

みんなで雛乃の家に押しかけようとしてたわ」




....大事になってたんだな

そこまで心配されてたとは思ってなかった


琉風さんからの突然の告白に

驚きと喜びが抑えきれない