必死に止めようと手を伸ばした桃妃子さんだがそれを潤さんは振り払った。


「ええ加減にせぇ。ここで鞠も自分の気持ちはっきりしてくれへんと、俺も桃妃子も歩きだせんのや。
アンタはまだ飛澤ンとこから逃げるんか?」



先程から黙り込んでいた小鳥遊さんは俯いていた顔を上げると、緩く首を横へ振った。


「…僕も、こうして潤に呼ばれたことですし決めていた覚悟を話すべきだと思いました。
すみません、桃妃子も。春威が死んでから貴方は僕の前から去ってしまった。あの時支えて上げられなかったこと、本当に後悔しています」

「…別に私はもう吹っ切ったわよ」

「ええ…それでいいんです」

「なっ、何でそんなことを…」

「もう僕も貴方も前を歩いて行ける。それから飛澤さん逃げ続けてすみませんでした。
僕にはやっぱり喧嘩も向いていなかったようです。
だから今日限りで火鎖我族を脱退させていただきます」