飛澤さんのバイクに乗せてもらいながら着いた場所は、前に他校の高校生と喧嘩した場所だった。


静まり返ったそこは、やはり町の外れだけあって人が見当たらない。
今日は仲間を遅らせて呼んだらしい。きっと飛澤さんのことだから、何かしら事情があるのだろう。



―ヴォンヴォンとけたたましいエンジン音が聞こえて振り返ると、潤さんを筆頭に桃妃子さんや彼らの仲間がそこにいた。


あたしを見て驚く桃妃子さんは何か言いたげだったが、あたしが勝手に動くことを許さない飛澤さんは「動くな」と言わんばかりに睨んできた。



「何や、アンタの仲間一人もおらへんのか?
人質に沖宮の妹を使うなんて、地獄でアイツも怒っとるで」

「そんなもの知ったことじゃない。結局アイツだって俺のところにいるのが嫌だったはずだ。そこに仲間なんて感情は無かったよ」