ある日、いつものように学校へ行くと、結菜の様子がどこかおかしいことに気が付いた。


椅子に座ったまま、その瞳は宙を彷徨っていて、何より……光を失っていた。



暗闇の中のように何も映していない、絶望に満ちた瞳。


そして無表情の結菜に、私は底知れない恐怖と悲しみを感じた。




「……ゆ、結菜?」


恐る恐る私が声をかけると、


「ん? どうしたの?」


いつもの調子でそう言って笑ってくれた。




でも、私には分かった。


それが作り笑いだということが。


何故ならその瞳は、さっきと何も変わっていなかったのだから。



「大丈夫……?」


私が聞くと、結菜は儚げに笑い



「……私、本当に馬鹿みたいだよね。

信頼していた人に、裏切られたっていうのに、嘘だと願い続けてるなんて」


徐に、昨日の放課後のことを話してくれた。





話し終わった結菜は泣いていて、

私はただただ、消えてしまいそうな目の前の少女を抱きしめることしかできなかった───