「まぁさ、俺に言わせれば井の中の蛙なんてナンセンスだね」
と、雨蛙のノググは得意げに喉を膨らませた。
「大海だってなんだって知ってる。俺が海に行かないのは、ただ海が嫌いなだけなんだ」
篭目町の空は3日間続いている雨のせいでドンヨリとしている。鳥たちは羽を濡らさないように飛ぶことを我慢しているので機嫌が悪い。双子雀のチックとメダルも例外じゃなかった。
「お前が海を嫌いなんじゃなくて、海がお前を嫌いなんだろ?」
「自慢の平泳ぎも意味ないね」
いつもの憎まれ口にも力が入る。
「どっちでも構わないさ。それに俺はバタフライだって背泳ぎだって誰にも負けないぜ」
しかし梅雨時ですこぶる元気なノググは全く気にしない。チックとメダルは息を合わせたようにフンッと同時に鼻を鳴らし、蛙よりも短い歩幅でピョンピョン跳ねてその場を去った。いつもなら腹の立つ双子雀を追い返してノググは更にご機嫌になった。膨らんだ喉が細かく揺れる。
水溜りに跳ね返る雨音がメロディを奏で、農具をしまう小さな納屋のトタン屋根から伝う雫がリズムを刻み、一面に広がる田んぼの中でノググは気持ち良く歌い始めた。
と、雨蛙のノググは得意げに喉を膨らませた。
「大海だってなんだって知ってる。俺が海に行かないのは、ただ海が嫌いなだけなんだ」
篭目町の空は3日間続いている雨のせいでドンヨリとしている。鳥たちは羽を濡らさないように飛ぶことを我慢しているので機嫌が悪い。双子雀のチックとメダルも例外じゃなかった。
「お前が海を嫌いなんじゃなくて、海がお前を嫌いなんだろ?」
「自慢の平泳ぎも意味ないね」
いつもの憎まれ口にも力が入る。
「どっちでも構わないさ。それに俺はバタフライだって背泳ぎだって誰にも負けないぜ」
しかし梅雨時ですこぶる元気なノググは全く気にしない。チックとメダルは息を合わせたようにフンッと同時に鼻を鳴らし、蛙よりも短い歩幅でピョンピョン跳ねてその場を去った。いつもなら腹の立つ双子雀を追い返してノググは更にご機嫌になった。膨らんだ喉が細かく揺れる。
水溜りに跳ね返る雨音がメロディを奏で、農具をしまう小さな納屋のトタン屋根から伝う雫がリズムを刻み、一面に広がる田んぼの中でノググは気持ち良く歌い始めた。