「ハハ、やっぱり」

そう言った副社長に、
「やっぱり?」

私は訳がわからなくて聞き返した。

「イメージ通りだなって思ったんです」

副社長は笑いながら言うと、コーンの部分をかじった。

ソフトクリームを食べ終えると、また手を繋いで一緒に歩いた。

「水族館、楽しいですね」

そう声をかけてきた副社長に、
「イルカショーを見ただけで、まだ館内の方は見ていないですけどね」

私は苦笑いをしながら答えた。

「でも、とても楽しいです。

俺、水族館にきたこと自体が初めてなので」

副社長は言った。

お金持ちって、あんまりこう言うところに遊びに行かないのかな?

そう思っていたら、
「母を亡くして、父も仕事で忙しくて家にいなかったので」

副社長が呟くように言った。