「れる」

雪はぎゅっと私を抱きしめて


「れる…」

ただ、私の名前を呼んだ。


そして、そう言うんだ。




「俺が、お前を抱きしめる」

「“れる”って呼んで、どこにいても見つけてやる」


「お前のそばに、ずっといるから…」


涼しい風がそよそよ吹いて雪の黒髪と私の栗色の髪を揺らした。


「うぅ〜、雪っ」

「ん、れる」


私は泣き止むまで雪の腕の中で

“雪”

って、君の名前を呼んでいた。


「………雪」

「ん?」