「………わかった」
あおはそれだけ言って桜の腕を掴んで屋上から出ていった。
あぁ、これで。
もう…あおはきっと、
私の家には来ない。
“れる”って呼んではくれない。
後ろから、抱きしめられることも
あの優しい笑顔を向けてくれることも
きっと、ないんだろう。
気付いたらボロボロ涙が溢れてた。
「頑張ったな」
雪はただ静かにそう言って
抱きしめながら頭を撫でてくれてたんだ。
「うぅ、もう…あおは私を抱きしめてくれない?」
「“れる”って呼んでくれない?」
「私のそばに、いてくれないの?」
ぎゅっと雪の服をつかむ。
黒いカーディガンに私の涙が染み込んで。
少しずつ濡れていく。