「……雪…くん」 そう呼べば、彼は言う。 「雪」 くん、もダメですか…… 「………せ、つ」 「ん」 “よく出来ました”というように 優しく笑って、彼は頭をポンと撫でた。 「……雪」 綺麗な、彼にピッタリの名前。 「れる」 私の名を呼んで、優しい顔をする。 さらっと空を泳ぐ黒髪が目に焼き付いて 頭から離れなかった。