咲との電話を切って

いつものようにボーッとする



夜のこの時間が好き。



この階段の三段目で

海を見ながら

ボーッとするんだ

海の音を聴いて

感情を無にする

綺麗に

綺麗に







「気持ちいいっすねーここ」




ビクッ


急に男の人が隣に座ってきて

ボーッとしてたから余計過剰に驚いてしまった





「あ、はい」





怖くて顔が見れなくて

少し横にずれて返事をかえした




「良いとこだな~」




あれ?


なんか聴いたことある声。





私はその人の方を向いた






「・・・!?!?!?」





「ん?あ、俺のこと知ってるんだ」





私の横に座ってきたのは

隼人くんだった





「え!うそ、、え、あ、あの、、」




頭が真っ白になって

慌てて立ち上がって髪の毛を直した





「もしかしてファン?」




「あ、は、はい!!!」




「あーそうだったんだ」




隼人くんが少し苦笑いしたのも気付かず

私はずっと好きだった人が目の前にいて

会話してることが信じられなくて

どうしていいのか分からず顔を手で覆った





嘘だ、


嘘だ、


嘘だ、





今ここに


隼人くんがいるなんて







指の隙間からまた隼人くんを除く






いる!!!!!!!!



ここにいる!!!!!!






「ぷっ、、はははははっ!!」




隼人くんが急に爆笑してきて

つい顔から手を離す





「な、なんですか?」




「いや、面白いなって」



「な、なんでいるんですか?」





「明日の撮影、朝早いから前乗りっす」




「あ、なるほど、、」





「それ、なに?」




私が首からさげてるカメラ

写ルンですを指さして隼人くんが不思議そうに聞いてきた





「あ、これは、写ルンですです!」




「はははっ、ですです!って」




隼人くんにまた爆笑されて顔が熱くなる




「それ、何撮ってんの?」




「あ、いや、色々っていうか、ほとんど海っていうか、、、、」




「へえ、変わってるね!」




グサッ


変わってる

って

すごい笑顔だったからキュンとしちゃったけど

結構恥ずかしい