「オトちゃん、また美人さんになったんじゃない???」




「そんなことないですよ」




「オトちゃんは綺麗だしスタイル良いからモテるだろー?」




「そんなことないですよ」





「モデルにねればいいのに!なあ!お父さん!」





「オトはお父さんのお店継ぐんだもんな?」




「うん」






この季節になると集まるお父さんの友達のおじちゃん達に、毎年同じことを言われる

みんな家族が私のことを呼ぶように"オトちゃん"と呼んでくる

おじちゃんたちに囲まれるのももう慣れっ子。



お父さんのお店を継ぐのは本当で、

私も海が好きだからずっとここにいたいと思ってる。


お父さんが作ったこのお店も好きだから、ずっとここにいたい。


ここが好きなんだ。


だから高校を卒業したら、そのままこのお店で働く。





「オト、ちょっと外のメニュー変えてきて」




「うん、わかった」





お父さんに頼まれて、ディナー用のメニューを受け取る



夏休み初日ももう夕方だった。