「……っ!?」




隼人くんは
そのまま力強く私を抱きしめてきた



さっきの
割れてしまうものを撫でた
あの時の優しさと違う

離したくないものを意地でも掴むような
力強さで
私をギュッと抱きしめた




「俺、好きだわ」




え、、?!
誰を?私を?

隼人くんが?




いきなりのことで頭が真っ白になりそう





波が足元まで来て
サンダルの中に水が入る





「初めてだった、人間を綺麗だと思った、昨日、海を見てるウミちゃん見つけた時、綺麗だと思った。
手に入れたいって思った。

でも俺のファンって聞いて、ああこの子も同じかって思っちゃったんだ。

でも、話してるうちに心まで綺麗なウミちゃんを、素直でいろんな表情するウミちゃんを、写ルンですで大きい大切なものを撮るウミちゃんを、もっと知りたいと思った。

だから昨日カメラを交換した。
俺を知って欲しいとも思ったし、また会えるとも思ってた。

さっきウミちゃんの写真見て思ったんだ。
"あぁやっぱり俺と同じだ"って
思わず、あんなことしちゃったけど、突き飛ばされて帰らされて、、

手放したくないと思ったんだ。

だからあそこで待ってた。
絶対来ると思ってた。

こんなに、、、好きになってた。」





昨日と今日

たったの2日だよ。

隼人くんにとっては

昨日初めて会った人。




なのに


そう訴える隼人くんの声から

私を強く抱きしめる隼人くんの腕から


伝わってきた。


言葉にしなくても

わかってしまうんじゃないかってくらい

隼人くんの心臓の鼓動が早いのがわかる






隼人くんは

ゆっくり私を離した




「こんなこと言われても信じられないよな、だからちょっとずつでもいい、本気で考えて欲しい。俺のこと。」





隼人くんは
真っ直ぐな目で見つめてきて



少しだけ寂しそうに微笑んだ