お皿を洗っていて、思う。


私、何やってんだろう。


こんなヒマあったら、勉強するのに!!!



私はおでこに手を当て、ため息を吐く。




あぁ。こんなことなら、賭けなんてしなきゃ良かったなんて思う。






そもそもの始まりはーーー









幼い頃。


お母さんは私に色々な習い事を習わせた。

ピアノ、バレエ、水泳、体操……



でも、私は才能がなくてどれも長続きしなかった。



唯一発揮できたことといえば、勉強。


学校で100点を取る度にお母さんは私を褒めてくれた。

それが嬉しくて、中学生までは
お母さんの期待に応えようとすることに必死だった。


……でもそれが、いつしかプレッシャーになってたのかもしれない。





そんな私と違って、お隣の長瀬諒也は、なんでもできた。


さすが、エリートの血だけある。


そして更に長瀬は、中学生になると、様々な才能を発揮するようになる。


テストはいつも100点。
成績オール5。
運動会や体育祭では、決まって一位だし。
美術のセンスもよくて、学校代表として美術展に出されたときは、文部科学大臣賞なんてとってたっけ。

とりあえず、なんでもできた。





そして、

‘‘諒也くんはスゴイわねぇ’’
‘‘花菜も見習いなさい’’

それが、ウチのお母さんの口癖になった。
勉強が取り柄だった私は、それが悔しかった。


それからだ、私が長瀬をライバル視するようになったのは。






そして中3の春。


高校受験を目前に控えていた私は、とっても焦っていてーーー