「……え?」

「サボりだろ、」


にやにやと笑いながら、話しかけてきた彼は、背がスラッと高くて顔も魅力的で。 
世間的に言えば、イケメン、だ。


同じ制服、同じ色のネクタイ。


知り合いでないのは、わたしが通う学校の人数が多いからであって。



「おれもサボり」



楽しそうにふふっと笑って、ぐうっと伸びをした。



「きみは、?」

「……よし」

「…………え?」



一回めんどくさそうに頭をかくと、はっきりと『みよし』と呟いた。


「みよしのぞむ、北高1年」

「わたしもっ、北高1年、」


可愛げなく、名前は、と聞かれて。
なんだか、自分で自分の名前を言うのが恥ずかしかったから、彼と同じように小さく『山岡楓』とつぶやいた。


「かえで?」

「かえで。」


のぞむって呼べばいいのかなあ。

なにか可笑しかったのか、わたしがのぞむって言うと、にやけるように笑った。