ベンチに座って試合が始まるのを待つ。




この高揚感といい熱気といい、あぁーー!楽しみ!




駆流と話していると、試合開始の合図が鳴った。




周りからは大歓声。




プロの試合は高校生とは全く違う。




ピッチャーが上手く調子が出ないと野次が飛んだりする。




それに何より迫力が違う。




ボールの速さ、ボールの飛距離、盗塁。




全てにおいてスピードが違う。




「駆流。プロ野球って球場で見ると、迫力凄いよね。」




「おぅ。なんか、俺があのグラウンドに立ったら雰囲気に飲まれそうだ。・・・・平然と集中して試合出来てるのって凄いな。」




「・・・・・・駆流はプロになりたいって思う?」




プロになりたいかなんて初めて聞いたかもしれない。




「・・・・・今は正直分かんない。まずは甲子園行きたいって思うんだ。そこに行ったら何か変わるかもしれない。野球に対する見方が変わると思う。だから、今は目の前のことに集中したい。」




初めてこんなに真面目なことを聞いたかもしれない。




いつも甲子園のことだけしか考えていなかったから。




将来のことをそんなふうに考えてたなんて知らなかった。