「凄いね。遂に来たんだ、決勝。」




「そうだな。・・・・・緊張してきたわ。でも、決勝の雰囲気を感じられるって幸せだな。」




私と駆流は応援席に立ってマウンドを見下ろす。




ずっと来てた球場なのに、今までと違う感じがする。




ここで勝てば、甲子園に行けるんだ。




「光ちゃーーーん!!」




渚砂先輩に呼ばれて後ろを振り返る。




「はい!」




「あのね、バスの中に忘れ物しちゃったみたいだから取ってきて貰えるかな?」




私に荷物の確認リストを渡すと、渚砂先輩は下に降りていった。




私は急いで階段を降りると、バスに向かって走る。




すると、球場の入口に陸先輩が座っているのが見えた。




「先輩?大丈夫ですか?」




何となく顔色が悪い気がする。




「あっ、光ちゃんか。・・・・・うん。ちょっと緊張してきてさ。カッコわりぃよな?キャプテンのくせに。」




そう言って笑う陸先輩。




「緊張するのは普通のことだと思います。キャプテンだからとか関係ないです。・・・・私はここまで来たら楽しむしかないと思いますよ。偉そうなこと言ってあれですけど、みんなこの決勝を目指して練習してきて、そこに立てる。それだけでも幸せな事だと思います。だから、緊張しても楽しんでください!」