ずっと寝たくても寝れなかったのに、駆流がいてくれるだけですぐ寝れた。




やっぱり安心する。




「・・・り。・・・かり。・・・光!」




「はっ、はい!」




「後少しで着くぞ。起きて。」




「ん。ありがとう。結構寝れたかも。肩、辛くなかった?」




「大丈夫だよ。あっ、着いたっぽい。」




バスを降りると会場にはたくさんの人が集まっていた。




「逸れないようにしろよ!後はキャプテンの指示に従うように!」




そう言うと監督は歩いていってしまった。




「じゃあまず、選手は軽くアップしてその後ミーティングな。応援の奴らとマネージャーはそれぞれ準備してくれ。」




私は渚砂先輩と一緒に一足早くグラウンドのベンチに向かう。




扉を開けた時、初めて下からの景色を見た。




青い空に、綺麗な緑色の芝生。




想像以上だ。




私は感動して、ただグラウンドを見ていた。




ベンチから1歩出て、芝生の上に立つ。




会場の視線がピッチャーに集まる。




聞こえるのは歓声と金属音。




青い空に白い玉が飛ぶ。




あぁ、遂にスタートラインに立てたんだ。