ストライク、ストライク、ボール、ファール、ボール。



上手く手に力が入ってないのかもしれない。



ベンチが少し暗い雰囲気になってきた。



この空気どうにかしなきゃ。



そう思った瞬間、私は立ち上がって叫んでいた。



「駆流ーーーーー!!絶対、打てるよーーー!!」



治りかけの喉が少し痛んだけどそんなの今はどうでもいい。



駆流はバットを構えたままニヤッと笑った。



駆流がピッチャーを向いて再び構えた。



ピッチャーがボールを放つ。



真っ直ぐ放たれたボールは駆流のバットに当たった。


カキーーーーーーンッッ



ボールはファーストとセカンドの間を抜けた。



その間に2塁にいた選手がホームベースに走ってくる。


駆流のヒットで4対2になった。



「「「「「よっしゃー!」」」」」



ベンチでは大歓声が上がる。



そして、9回表。



ここを守りきれば試合が終わる。



「駆流。包帯巻き直すよ。ここ座って。」



「ありがとう・・・・・・・・・。」



「黙っちゃってどうしたの?緊張?」



「ううん。・・・・・・・光がいてくれて良かったって改めて思って。」