「私は野球が好き。それだけ。だから、私は今から幼なじみじゃなくて野球ファンとして駆流に言うね。光としてじゃないから。光としてだったら、分かんないらしいし。駆流の気持ちが。」




「だから、ごめんってば。」




全然治らない機嫌に戸惑う俺。




「いいから、そのまま聞いてよ。・・・・・私の好きな野球はね、チームで勝つ野球。誰かが調子悪くてもカバーし合えるチーム。例え、誰かのミスがあっても許しあえるチーム。私はそんなチームを凄いなって尊敬するし、そんな人がする野球ってどんなに凄いんだろうって思う。・・・・・・・野球って、チャンスは18回もあるんだよ。延長になったらそれよりたくさん。表でも裏でも、いつだってすぐそこにチャンスがある。そのチャンスをものにするには誰1人掛けちゃいけない。誰か1人でも暴走しちゃいけない。私はそうだと思う。」




そう言って光はやっと俺の方を向いた。




「そう、言ってるよ。私の中にいるファンは。」




18回のチャンス。




そんなふうに考えたことなかった。