…それからと言うもの、夕陽を度々病院で見かけることが多くなった圭吾。

しかも、一体どんな理由で病院に来ているのかがわからない。

圭吾も、仕事中の為、夕陽の後をついていくわけにもいかない。

しかも、見かけるときはいつも夕陽の傍らには明がいて、その上、夕陽は、明を慕っているように見えた。

そんなことを見かけてから、尚更、夕陽を信じられなくなって…

もう、自分のことはどうでもよくなったのかと思うようになっていた。

聞きたいという気持ちはもちろんあった。

だが、変なプライドが邪魔をして、それが出来なかった。

…自室で、パソコンを操作中、ドアをノックする音が聞こえた。

「…圭吾さん、お話ししたいことがあるんですが、今大丈夫ですか?」

…久しぶりに聞く夕陽の声。

その声を聞いただけで、今すぐ抱きしめたい衝動にかられる。

のに。

「…ごめん、今手が離せないんだ」

と、大人げない事を言う圭吾。

「…どうしても、今日話しておきたくて…ほんの少しでいいんです。お願いだから、顔を見て、話をさせてください」

「…ごめん」

…。

「…わかりました。忙しい時にごめんなさい」

…この時、夕陽の言うことを聞けば良かったと、次の日の夕方、圭吾は後悔する事になる。