「…痛いじゃないですか?!って」

反論もここまで。

真横に座られ、夕陽は体をのけ反らそうとするも、圭吾に引き寄せられ身動き一つ出来なくなる。

「…夕陽」
「…圭吾さんは私のお兄さんでしょ?なんでこんなことばっかり」

夕陽の言葉に、圭吾は悲しい顔をする。そしてそのままぎゅっと夕陽を抱き締めた。

「…圭吾さん!」

ドンドンと圭吾を叩いてみるが、圭吾は絶対離さない。

「…どうして夕陽と兄妹になったのかな」
「…ぇ」

夕陽の手が止まる。

「…兄妹になんて、なりたくなかった」
「…そんなに私のこと嫌い、なの?」

夕陽がそう言うと、圭吾は少し体を離して、夕陽を見下ろした。

「…その反対」
「…反対?」

潤んだ瞳で圭吾を見つめる夕陽。

今にも大きな瞳から、零れ落ちそうな涙を圭吾は優しく拭った。

「…夕陽の事が好きなんだ。凄く、凄く。妹じゃなくて、彼女になってくれたらって」

「…?!」

「…夕陽がもっと、俺のことを知ってくれてから告白するつもりだったんだけど…」

「…こ、困ります、そんなの。圭吾さんは、お義兄さんで…だから、そういう関係にならなきゃって」

「…うん、知ってる。夕陽は周りの事を、一番に考える子だって…俺の気持ちを夕陽に押し付けるつもりはないよ。柄にもなく嫉妬したけど…でも、夕陽がもし、俺のことを好きになったら、その時は打ち明けて欲しい…俺以外の男を選んでも、ちゃんと言って」

困ったような顔をする夕陽に、圭吾は微笑み優しく頭を撫でた。