お店に入ると、変わらない雰囲気だった。

「陸ちゃん!!」

声のする方を見るとスーツを着た男の人がふたり座っていた。

「あ、いた!」

席までいくと、驚きで頭が真っ白になった。

たぶんそれは陸も同じだったと思う。

たぶん、陸に好意がある男の人は童顔で万人ウケしそうな可愛い顔をした男の人。

そしてその男の人の隣で無愛想な男。

それが、優にそっくりなんだ。

あたしたちは驚きながら座ってビールをとりあえず頼んだ。

「あ、俺は陸ちゃんに一目惚れした大橋 悠人でーす!!こっちは、俺の同期で高校時代からの親友の来栖 京くんでーす!」

あたしの前に座る来栖京という男はさっき見たときはほんとに優に似ていてびっくりしたけど、じっと見るとそうでもない。
雰囲気は似ている。

でも、優はもう少し笑う男だ。

京は無愛想でぜんぜん話しに興味は示さない。

陸と悠人くんが話しているのをただ淡々と聞いてお酒を飲んでいた。

じっと見つめるあたしをおかしいと思ったのか見つめ返してきた。

「なに?」

「いや、なんでもない」

「おかしな奴」

そう言って微笑んだ顔が優にそっくりだった。

もっと笑えばいいのに。
そう思った。