待ち合わせ場所にいくと、可愛らしい洋服を着た陸が待ってた。
「みやび〜!!」
「ごめんごめん、美容院が長引いて」
「可愛い〜。てかネイルも可愛い」
「ありがとう」
「じゃあきょうはもうお店決まってるからとりあえず渋谷まて歩き!」
「きょう、渋谷なの?なら渋谷で待ち合わせすればいいのに」
「渋谷で待ち合わせすると人たくさんすぎてわからないんだもん」
「たしかに」
それからあたしたちはいつも通りくだらない話をして渋谷について、居酒屋にいきついた。
「ここ…」
見上げてあたしは気づいたんだ。
あー、ここは嫌だな。
嫌な光景が頭に浮かんだ。
「みやび…」
隣で陸が心配そうにあたしを見上げる。
陸は全部知ってる。
それでも連れてきたってことはきっと、なにかあるんだ。
「大丈夫だよ、心配しないで」
「そう?ほんとに?」
「うん、ほんとに大丈夫だから」
「あのね、みやびに言わないといけないことがあって。」
「ん?」
陸が申し訳なさそうにあたしに言った。
「みやびに紹介したい人がいるの」
「え?」
「きょうは2人じゃなくて男の人もいるの」
「そうなんだ」
「ごめんね、この前の公演のときのお客さんですごいしつこかったら友達も一緒ならって言っちゃって。」
「いいよ、ぜんぜん。楽しもうよ」
不安そうな陸の顔が一気に晴れやかになった。
「良かったあ。ありがとう」
「いこ」
あたしは思い出のお店を陸との楽しい思い出の場所にしようと決めたんだ。
これから、起こる出来事なんて知らずに。