「みやび、きょうおやすみ?」
「うん、陸は?」
「きょうレッスンなの〜。でも夜から暇だからごはんいこ♡」
「いいよじゃあ思いっきりおしゃれできるようにネイルと美容院いこうかな」
「いいなああたしもいきたーい」
「陸はそのままで十分可愛いんだからいいの」
「みやびのおっぱいほしいもーん、じゃあいってくる」
「いってら〜」
あたしはそのままシャワーを浴びてメイクをして外に出た。
ネイルサロンに寄ってから美容院へ向かう。
美容院が終わって黒髪からほんの少し明るめにしたあたしは、街中のショウインドウの鏡を見て思った。
「髪伸びたなあ…」
20のときのあたしは肩くらいまでしかなかった髪は24歳になったいま、胸下まである。
切ろうか、切らないか。
「だめだ、まだ切れない」
髪くらい早く切れっていつも自分でも思う。
でも切れないんだ。
あいつがロングが好きだと言ったから。
たったそれだけのこと。
4年もたっているのにまだ思い出すあたしは弱いのだろうか。
ふと、腕時計を見ると6時を示していた。
陸との待ち合わせ時間は6時半。
「やば、急がなきゃ」