「あっ…」
「あ、あんっ…あっ」
真夏の夜中。熱い熱帯夜。
ホテルの一室であたしは情事をしていた。
あー、あたしなにしてんのかな。
この人誰だっけ。
上で興奮した顔で腰を振るこの男は気持ち良さそうにしているけど、あたしにとってはどうでもいい。
「イッていい?」
「いいよ」
情事を終えたあたしに、この男と一緒にいる必要はない。
「すーっ、すーっ」
「バッカみたい」
隣ですやすや満足げに寝ているこの男。
気持ちいいことしてそんなに幸せなのか。
名前も知らない。性格も知らない。
なにも知らない。
それが後腐れがないワンナイトラブ。
こんなこと続けても意味ないってことわかってる。
でも、いまのあたしにはこれしかないのだ。