「……ここ、何?」
連れてこられたのは庭のような、広場のような…草花の咲く広い場所。
こんなにきれいな場所なのに全然人気がなくて、ベンチと自販機しか見当たらない。
「はい、水」
「…え?」
秋本はあたしにペットボトルを差し出してきた。
「いいよ、これあんたのでしょ?」
それをあたしは受け取らず、突き返す。
秋本が手を離してベンチに座り、ペットボトルの水を飲み始めたせいか、あたしたちの間には謎の沈黙が流れた。
どうすればいいのかもわからず、とりあえず秋本を見ているあたし。
「…ん?何、やっぱり飲みたい?あ、でもこれじゃあ間接キスに」
「いらない。絶対」
その視線に気づいた秋本はやっぱり変なことを言い出した。
もちろん、そんなんにのるほどあたしはノリのいい人間ではない。