「俺には幼なじみがいないからよくわかんないけど、沙弥ちゃんと蛍人はお互いが大切なんだね」


「……」




大切、か。

三上センパイの言ったことに何も反応できず、あたしは寝ている秋本をぼーっと見ていた。




「沙弥ちゃんちこっちだよね?」



「あ、はい。そこの角を曲がったところです」




こいつは、あたしの心を惑わせる天才だと思う。


……この気持ちは、なんだろう。