「本当にありがとうございました」




まだ熱があるというのに、沙弥ちゃんはご丁寧に玄関までお見送りに来てくれた。




律儀だなぁ、光莉にも見習ってもらいたいものだ。




「ここでいいよ、鍵だけしめてね?」




「あ、もう秋……家族が返ってくる頃なので、大丈夫です」




2人の間に流れる、沈黙。




……いま、秋本って言いかけたよね?




沙弥ちゃんはというと、ひきつった笑顔で目をそらした。




あーあ、やっぱりかぁ。