「おい、蛍人」



声をかけるとゆっくり顔をあげてこっちを見るけど、すぐまたもとの姿勢に戻ってしまう。




「…はぁ」




うぜえ。


そう思いながらも、俺は蛍人の前に立ち、右耳を引っ張ってやった。




「いって!!何すんだよ冬馬!!ドSか!!」



バッと顔を上げた蛍人の瞳にはうっすら涙が浮かんでいた。



「男ならウジウジすんな。センパイが謝ってくれるの待ってるんじゃなくて自分から行動しろ!」



こんなに大きな声を出したのはいつぶりだろう。

…俺、だっせえ。