「もう、待ってよ。今日一緒に帰る約束覚えてる?」



リサだ…。



「忘れた」



「えーっ、ひどいよ!家までの帰り道わかんない~」



やたら寄ってくるし、初対面のはずの俺らが話していることで一気に周りの注目を浴びる。



「黙ってろっつったのお前だろ。なにバラしてんの」



ほらな、紫藤だって目を剥いて驚いている。



「だってぇ~、学校までの道こんなに難しいと思わなかったの。都会の風景は全部同じに見えるよ」



田舎だってそうだっつの。



逆にコッチのが目印見つけやすいはずだけどな。



「あ、リサでーす。こんにちは。1組の転校生です」



「キミが噂の転校生か~。美人だね!!」



ばっかじゃねーの。



リサを前にして、デレてる紫藤を見てガッカリだよ。



さっきの意気込みはどこへ?



これは関西弁ヤローに桃ちゃんを奪われるのも、時間の問題だな。