「あたしが行ってくるよ。お弁当はある?」



「ないよぉ。今朝突然家に押しかけてきて弁当作れって言うの。もちろん断ったけど…あたしの話なんか、全然聞いてないんだ」



ふむふむ、そうなんだ?



突然…。



「同じ学年?」



「うん…けど、引越してからもう5年も会ってなかったの。またこっちに戻ってきたらしいけど、まさかウチの高校に来るなんて、聞いてないよぉ」



半泣き…っていうか、もう泣いてる。



男の子のところに行く前に、あっちから押しかけてきた。



「桃、顔上げろや。弁当は?って聞いてるやろ」



どこの言葉だろう…なんか迫力が増す。



「あ~っ…今はそっとして欲しいな。怯えてるから…」



なだめるように言うと、思いっきり睨まれた。



「は?テメーに言ってねぇわ」



こっ、怖い…。



だけどあたしには、おまじないがある。



恋のおまじない専門だけど今回ばかりは例外。



いつもより、ちょっぴり強くなれる勇気の女神のおまじないを呟いた。