(やっぱり、恋人は欲しいなあ)

そう思ってから、美花は自分で自分をごまかしたことに気づいた。

恋人が欲しいのではない。自分は家庭が欲しいのだ。

今まで学業や仕事ばかりにエネルギーを使い、恋愛からずっと逃げていたくせをして今更だが、自分の家族を持ちたい気持ちは年々増すばかり。

もちろん、美花も29歳まで婚活すらしなかったわけではない。

パーティや街コンには周りに黙ってこっそり参加したが、ピンとくる異性とは知り合えなかった。

独身友だち主催の合コンや紹介もあてにはしていたが、知り合った相手の男が下心丸出しで酷い目にあっただけで、以降のお誘いは消えていった。

美花は、自分がアラサーの婚活袋小路に迷い込んでしまったことを自覚するにつれ、半ば諦めモードに突入していた。