定時になってから帰る準備を済ませ、今日は早く終わりそうかとさつきに声を掛ける



見たところ、もうほとんど片付いているようにも見える



案の定、返ってきた言葉は期待通り




「んーこのデータ送って、あとこれ持って行ったら終われるかしらね」




さつきを早く終わらせるべく見せられた受注書の束を取り上げ、フロア内に挨拶をしてエレベーターに乗り込む





7階で降りて管理部の入口付近にいた女性社員に持ってきた受注書の束を渡す



用は済ませたので管理部を出ようとすると、面倒な男に声を掛けられた



「よぉ橘」


あぁ…そうだった


管理部にはこいつがいたんだった



「加納お疲れ、何か用?悪いけど急いでるんだ」



「懇親旅行のバレーボール、お前に勝ったら河本を1日貸せよな」



ニヤニヤと気持ちの悪い笑いを浮かべる加納にため息が漏れる




加納の一方的な賭けに近くで窺っていた女性社員が乗ってきた



「え!?じゃあ、私も!橘くんとデートしたい!」



1人がそう言えば、「私も!」と乗ってくる女性社員達




「優勝したらね」




心の中でもう一度ため息を吐く