独りだと思いました。誰が見てもこの人達は恋人関係だと感じ取れる状況にいて、自分自身、そう思われるに相応しいと思っていたのに。



私は独りだと思いました。夜ご飯を食べにいくため走っている彼の車から見える夜景が、車の窓を流れ星のように光の残像を残しながらキラキラ流れていく様子を見ながら、独りだと思いました。私はその眩しさに耐えられず、彼を見ました。右手をハンドルに、左手をシートの上にだらんと置き、前を真っ直ぐ見据えながら運転をしている彼の横顔を見つめました。いつもならここで、両手で運転してよ、事故りたくないじゃんと指摘する私に、彼は、はいはいと仕方なさそうに笑いながらそれを受け入れてくれるのです。でも今日はそれが言えない。その理由はもう分かっています。私も彼も。痛いほどに。